秘された生のさなかで(Facebookペースト)
昨日、試写の帰り、渋谷のブックオフで買った
レナード・コーエン『テン・ニュー・ソングズ』(01)を
いまヘッドホンで聴いている。コーエン67歳時のアルバム。
声はより低くなり、より掠れ囁きながら
女性コーラスのなかに「潜る」ようになる。
男の老体が若い女に寄り添うようでこれがすごくエロい。
しかし英語の歌詞は単純でも含みをもつなあ。
ほとんどがラヴソングだとおもう。黙示録的な。
●
ウィキで調べると
『Dear Healther』という04年のアルバムが
コーエンのいまのところの最新作みたいね。
71歳時の歌かあ。
これも聴いてみたい(たとえ衰退相であっても)。
そうおもうのも、ぼくが70年代に好きだった
日本の詩作者が
いまみんな60歳代以上になっているためだ
●
『テン・ニュー・ソングズ』のブックレットにある
三浦久(コーエンの歌詞の定訳者となっているひと)の
訳詞に反対。ニュアンスがつかめていないのだ。
以下、「イン・マイ・シークレット・ライフ」の第一聯を
三浦訳、阿部試訳の順で並べる
●
【三浦訳】
今朝あなたの夢を見た
あなたの動きはとても敏捷だった
過去を握りしめた手を
緩めることができないみたい
あなたがここにいてくれたらなと思う
他の誰も近くにはいない
ぼくは今でもあなたとセックスしている
ぼくの秘密の人生では
●
【阿部試訳】
今朝きみの姿をみた
きみはとても速くうごいていた
ぼくが拳で握り固めた過去を
バラバラにはできないみたいだった
きみはもうずっと居ない
だから見回しても誰もいないのに
ぼくらはいまだにそこで性愛に耽っている
そこ--秘された生のさなかで
●
ちなみに元詞は以下。
I saw you this morning.
You were moving so fast.
Can't seem to loosen my grip
On the past.
And I miss you so much.
There's no one in sight.
And we're still making love
In My Secret Life.