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行幸 ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

行幸のページです。

行幸

 
 
【行幸】


あたまを向かう空にあずけ
知られぬ者としてみぞおちを
草のわずかな上にすすませることを
あるくというのだとしたら
きっと上体と下肢のとりあわせは
胃の不吉にうごめき返されるだろう
擦る音をちらすだけで
それはどこにもあるいていない
線量の多い水のはぜていることのきれい
そのつゆだくのひそかな一帯に
みちているはずのダクオーンもなく
なぜサ行だけがながれてゆくのか
いつしか雲上をあるいている
とすればからだのうごきじたい密談で
だれもがそんな草とからだの
直立関係を一息ごとに離すしかない
なくなった駅がまたなくなり
水平がただ消滅へ帰結してゆく
やみくもとはひろいこと昼日中のもんだい
くものこをちらしてバスからおりても
数人のかたちづくられるのが早すぎた
そういうのがいつも往路の鉄則だとして
草が菜の花でないことも
音が存在の音でないことも
みんな決意の尚早とおもえる
空洞にたまりつづける陽光
だからむだに突っ立つ耳には
せめて銃撃に似たK音を
 
 

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2011年05月02日 現代詩 トラックバック(0) コメント(0)












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