行幸
【行幸】
あたまを向かう空にあずけ
知られぬ者としてみぞおちを
草のわずかな上にすすませることを
あるくというのだとしたら
きっと上体と下肢のとりあわせは
胃の不吉にうごめき返されるだろう
擦る音をちらすだけで
それはどこにもあるいていない
線量の多い水のはぜていることのきれい
そのつゆだくのひそかな一帯に
みちているはずのダクオーンもなく
なぜサ行だけがながれてゆくのか
いつしか雲上をあるいている
とすればからだのうごきじたい密談で
だれもがそんな草とからだの
直立関係を一息ごとに離すしかない
なくなった駅がまたなくなり
水平がただ消滅へ帰結してゆく
やみくもとはひろいこと昼日中のもんだい
くものこをちらしてバスからおりても
数人のかたちづくられるのが早すぎた
そういうのがいつも往路の鉄則だとして
草が菜の花でないことも
音が存在の音でないことも
みんな決意の尚早とおもえる
空洞にたまりつづける陽光
だからむだに突っ立つ耳には
せめて銃撃に似たK音を