木喰
【木喰】
半径何十キロメートル
ということがいわれるようになり
往古から境界神がやってきて
その線上をひっそりと憩いだした
めじるしの場所は貧相な百日紅
やがてくれないとしてつづく連日が
いつも途中の途中でありうるよう
境界神のこじきのからだも
百日の曲に飾られてただまわる
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集英社新書の春日武彦『奇妙な情熱にかられて』
を読み出した。
春日さん的なレファレンスの、魔術的精髄。
引用される細部がおもしろく
同時に、その連関もすばらしい。
ベンヤミンの幼児回想につうじる繊細もある。
脳髄にある、細民街の路地をゆくようだ。
その67頁のテルミヌス(境界神)の記述と
その後の記述から
上の詩篇をでっちあげたが
これまた震災詩篇となってしまった