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ENGINE EYE 阿部嘉昭のブログ

石作

 
 
【石作】
 
 
天のすそがゆらめいていれば
ひとみから手をのばして下ろしにかかり
はては世界の脱衣という仕儀までも
ひそかにかんがえてしまうものだ
 
りんかくのない混色にうまれついた
なにかうごいたあとの風にすぎなかった
途中のようなところ、いわば踊り場で
月暈となり寝とまりをくりかえすと
 
ぬがすというのも雲がねがえりをうち
つぎつぎに橋が炎えて街がおち
みることが裏になってゆくにひとしい
 
みつめあっているときのあの無限を
みつめあえないもののどこにもとめるか
 
顔なきはだかの発する問とはそれだった
まはだかにさせてもその身は羽衣をまとい
まわりをめぐらせるだけの、月人だった
 
 

2019年02月06日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

ゆげ

 
 
【ゆげ】
 
 
くりかえすよのなかで
うつくしいもののひとつが
ゆげかもしれない
 
かたちのなさがその形で
だとすればひろがりきえることも
もとの液体からはなれ
色をうしなってうまれるのも
ゆれていることさえ
すべて後悔とみえるから
 
よのなかのとおい花のめぐりにまで
ゆげをかんじてしまうとおもう
死にたがっているそのひとが水にふれれば
たちまちけむりにつつまれるようだが
もちろんなにももえていないのだ
 
まなこをみればわかる
ひとのやわらかさとはちがうゆげが
ただあなたとなって一刻
あなたの場所から立ちのぼる
 
 

2019年01月22日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

山麓通り

 
 
【山麓通り】
 
 
塔をみつめればことばも
たかく立とうとするのかもしれないが
うちがわへ折れたがって
 
まがっているをあるいた
 
ああ、よこたわるひとをみると
動悸するのはなぜか
死んでいると錯覚するよりさきに
いとしい横臥がみずたまりとおもえる
つきあいの発端もあったはずで
 
ひとのからだに空の映ったおもいでが
むかしからの寝床でぬれている
 
材のかさなりが水平線とみえる
ひとつの角度は
青に病んで、といえばいいのか
 
むかうことが喘鳴している
 
 

2019年01月07日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

なきもののゆれ

 
 
【なきもののゆれ】
 
 
よみだす詩集を
手もとに立てたりせず
それでもそれを柱とするため
身がまえをかんがえることから
息のありかたをはじめる
 
それはうつわかもしれない
きんいろのほそいふち
そこへくちびるをよせるように
こころなどちぢめてゆくと
 
紙のなかにいる者が
なぜこれほどしたしいのか
なぜ点在がこれほど世界なのかと
きれいな鼓動が紙をうち
ときのうちがわがひらいてゆく
 
いろいろなすきまに
すでに終わったあさが
やわらかくただようから
ひとの足し算さえ了えたのだろう
 
わらっておさめようとする
この肩のうえで
なきもののゆれがかさなる
 
 

2018年12月21日 日記 トラックバック(0) コメント(0)

メモ160

 
 
160
 
ひみつめく手のひらが
うちがわを作りあげ
ゆびはとがってうごき
おのれのまぼろしを裂く
妓の手踊りがおこなう
過去あることのなやましさ
きそわれた姸がおとろえ
やがてそこへ雪がふる
 
 

2018年12月17日 日記 トラックバック(0) コメント(0)